初対面の人の印象を、「黄色い服の人」とか「色白の人」と言うように、人は色のイメージで記憶していることが多いといいます。内装の色も、はっきりと覚えるのではなく、なんとなく感じて記憶していることが多いものです。床・壁・天井(ベースカラー)の仕上げの色を決める時、床から順に濃く(暗く)〜薄く(明るく)してゆくと、広く見え失敗しない、と一般的には言われています。これは暗い色は重く感じられ安定感があること、明るい色は膨張して見えるため、下方が安定し、上方の空間に広がった印象を持つことができるためです。
しかし、逆に、古い和室の空間のカラーはというと、床の畳の色(薄い)、土壁の色、天井の木の色(飴色に変色:濃い)と、逆のパターンが成り立っているといえます。しかし、古民家などで、経年変化で黒くなった和室の天井が重くのしかかって来る感覚が、必ずしも不快ではないはずです。閉ざされむしろ包み込まれているような安心感がもてるでしょう。
広がりのある開放的でのびやかな空間と、閉ざされ安心する空間。どちらが良くて、どちらが悪いと言うものではなく、相対する空間のイメージが、「色によって作ることができる」ということが重要なのです。
色と空間の居心地は、これ以外にも、それぞれの色が持つ心理的効果と密接に関係していて、部屋作りに活用することができます。
(次回は、具体的な色と部屋作りについてお話しします。)
(写真@:和室の空間は床が明るく天井が暗い)
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